「練習しているのに落ちる」には理由がある — 実技試験でよく見かける3つのパターン
「自分は大丈夫だろうか」
養成講座の仲間が不合格だったらしい。ネットでも「○回目で落ちました」という体験談を見かける。
ふと、不安がよぎる。自分は大丈夫だろうか。
練習はしている。自分なりに向き合ってもいる。
でも、このまま本番を迎えて大丈夫なのかという気持ちが、どこかで消えない。
15分のロープレ。限られた時間の中で相談者の話を聴いて、関わって、面談を進めていく。
「何とかしなければ」——その気持ちが練習の原動力にもなるし、同時に焦りも生みます。
この記事では、実技試験で結果が出にくい人によく見られる3つのパターンを整理してみます。
自分に当てはまるものがあるかどうか、振り返る材料として読んでもらえたら嬉しいです。
沈黙が怖くて、つい話しかけてしまう
相談者が黙った。2秒、3秒——何も言わない時間が続く。
「何か言わなきゃ」「この間をどうにかしなきゃ」
焦りが湧いてきて、つい質問を投げかけたり、自分から話題を振ったりしてしまう。
本人は聴こうとしている。相手のために何かしたいと思っている。
ただ、限られた15分の中で「何かを起こさなければ」という気持ちが、沈黙を埋める方向に向かってしまう。
相談者が黙っているとき、その人の中では何かが動いていることがあります。
考えを整理していたり、自分の気持ちを確かめていたり。
何かを思い出そうとしているとき、横から「これ?」「あれじゃない?」とヒントを出されると、かえって自分の言葉が出てこなくなることがあります。
相談者の沈黙にも、それに似たものがあるのかもしれません。その時間をCC側が先に埋めてしまうと、相談者が自分の中で何かを見つける機会が失われてしまう。
沈黙は「何も起きていない時間」ではない。沈黙の中で何が起きているか、「間」との向き合い方については、こちらの記事で詳しく書いています。
気づいたら質問ばかりになっている
ロープレの後に自分の発話を振り返ってみる。
「これ質問だ。これも質問だ。ここも・・・」——ほとんど全部が質問だった。
聴こうとしているからこそ、「もっと知りたい」「これも確認したい」と思う。
その気持ちが一つまた一つと質問を重ねさせる。相談者が何かを話すたびに、頭の中ではもう次の質問を考えてしまっている。
質問すること自体が悪いわけではありません。ただ、相談者の言葉を受け止めるステップを飛ばして質問だけが続くと、面談の空気が変わってしまう。
相談者の側から見ると、矢継ぎ早に聞かれている状態は、「聴いてもらえている」という感覚とは少し違うものになります。
誰かと話しているとき、相手が次々と質問してくると、答えることに追われて、自分が本当に話したかったことを見失うことがあります。
聞かれたから答える——でもそれは、自分の言葉で語っている感覚とは少し違う。相談者にも同じことが起きている可能性があります。
質問が連鎖していく仕組みと、そこからの切り替え方については、こちらの記事にまとめています。
「こうしたらどうですか」と言いたくなってしまう
相談者の悩みが見えてきたとき、つい口をついて出てしまう。
「転職サイトに登録してみては?」
「上司に相談されてみたらどうですか?」
善意から出てくる言葉です。目の前で困っている人に何かしてあげたい——その気持ちは、とても自然なものだと思います。
ただ、カウンセリングの面談では、CCが解決策を差し出すことが目的ではありません。
相談者が自分で気づき、自分の言葉で整理し、自分で歩き出す。そのプロセスを支援するのが役割です。
友人に仕事の悩みを話しているとき、「それなら転職したら?」とすぐに返されると、聴いてほしかっただけなのに、と感じることがあります。
一方で、じっくり話を聴いてもらった末に、自分から「動いてみようかな」と思えたとき——同じ結論でも、そこに乗っているエネルギーはまったく違う。
人から渡された答えと、自分の中から出てきた答えでは、重みが違います。
アドバイスが出やすいのは、面談の中で「まず聴く段階」を十分に踏んでいないのに、「何かを返す段階」に飛んでしまうとき。
面談全体がどういう流れで進むかが見えていると、「今はまだ聴くところだ」という判断がしやすくなります。
3つのパターンに共通していること
沈黙を埋める。質問を重ねる。アドバイスを出す。
やっていることは違うけれど、共通しているものがあります。「受け取る」より先に「動いてしまう」ということです。
相談者の言葉、感情、沈黙——それをまず受け取る前に、CC側が次のアクションに移ってしまっている。
これは努力不足の問題ではありません。むしろ、一生懸命だからこそ起きる。限られた15分の中で相談者の役に立ちたい。
その前向きな気持ちが、「何かしなきゃ」という焦りに変わっている。
もうひとつ別の景色もありそうです。
「動いてしまう」は、相談者を待てていないということかもしれません。
相談者には、自分で考え、自分で気づき、自分で歩き出す力がある。
その力を信じて、相談者のペースに委ねる。
キャリアコンサルタントとして、そんな姿勢が求められる場面で、「自分が何かしなきゃ」が先に立ってしまう。
「相談者を信頼して待つ」
言葉にすれば簡単ですが、15分という時間の中でそれを実行するのは簡単ではありません。
時間が限られているからこそ焦りは強くなるし、その焦りと、相談者のペースを尊重するという姿勢の間で折り合いをつけていく。
ここに、ロープレの難しさの核のようなものがあるように思います。
こうした「癖」は、本人が一番気づきにくいものでもあります。
やっている最中は「聴いている」「役に立とうとしている」という感覚がある。
外から見えるパターンと、自分の内側にある感覚にはズレがある。
自分がどんなパターンを持っているかを知ることは、思っている以上に簡単ではありません。
この記事では3つのパターンを取り上げましたが、「受け取る前に動いてしまう」という根っこは、ほかの形でも現れることがあります。
相談者の話を一生懸命聴いているのに、「聴いてもらえている」という実感が相手に届いていなかったり、面談全体のどこにいるか分からないまま15分が過ぎてしまったり。
現れ方は違っても、根っこにあるものは近い。
パターンは無数にあるように見えて、根っこはそれほど多くない。
根っこが見えれば、取り組む方向も見えてきます。
おわりに
「落ちる人のパターン」と聞くと、不安が大きくなるかもしれません。
でも、パターンが見えるということは、そこに取り組む手がかりがあるということでもあります。
「自分にもこういう傾向があるかもしれない」と気づけていること。
それ自体が、すでに変化の入口にいるように思います。
自分の課題がどこにあるかを、もう少し体系的に整理してみたい方には、こちらの記事が参考になるかもしれません。
逐語録を読み返してみると、自分のパターンが文字として見えてくることがあります。
「ここで質問を重ねていたんだ」「ここで沈黙を埋めていた」——そういうことが、目に見える形で分かってきます。
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