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ChatGPTにロープレ相手を頼むとき — 自分用プロンプトを3ステップで作る

ChatGPTにロープレ相手を頼むとき — 自分用プロンプトを3ステップで作る

「相談者役をやって」と頼んでみたあと

ChatGPTに「キャリアコンサルタントのロープレ練習をしたいので、相談者役をやってください」と頼んでみる。
やりとりが始まる。最初の数往復はそれらしい。

でも、進めているうちに、どこか違和感が残る。

AIの話が早く整いすぎる。3〜4往復で問題が解決の方向に向かってしまう。あるいは、相談者役のはずのAIがいつのまにかアドバイスを始めている。「もう少しじっくり聴いてほしいんだけどな」と思っているうちに、面談が終わっている。

もう少し自分の練習目的に合った相談者にしたい、と感じる場面が出てきます。

この記事では、ChatGPTで自分用のプロンプトを作るための3ステップを順に見ていきます。手元にある素材を使って、誰でも今日から始められる組み立て方です。

自分好みのプロンプトは、自分で作れる

ChatGPT用のロープレプロンプトを検索すると、様々なテンプレートが見つかります。
コピペで使えるものもあるし、自分の練習目的にぴったり合うものに出会えれば、それで十分始められる。

ただ、何度か試しているうちに「もう少しこの場面に絞りたい」「自分が苦手な相談者像で練習したい」と感じることがあります。
たとえば、口数の少ない相談者で間の取り方を試したい、特定のキャリアテーマ(介護を抱えながらの転職、定年後の再雇用など)に絞って練習したい、といったニーズです。

そういうときは、人が作ったプロンプトを探し続けるより、自分用のものを作ってしまうほうが結局のところ早道です。

ロープレ練習でほしいのは、汎用の相談者ではなく、自分が今、何を試したいかに合った相談者。
それを最短で用意するなら、手元にある相談者イメージから始めて、ChatGPTに考えてもらうのが現実的な早道です。

ChatGPTに頼むのは、3ステップだけでいい

やることは3つ。

ステップ1:相談者のイメージを用意する(webや書籍で見つかる、短い設定例で十分)
ステップ2:その情報をChatGPTに渡して、表層と深層の悩みを考えてもらう
ステップ3:ChatGPTの出力をそのまま使って、相談者役を続けてもらいロープレを始める

このアプローチが効くのは、ChatGPTがペルソナ設計を一緒に考えてくれるからです。完成形を自分で書こうとせず、素材を投げて考えてもらう。

このやり方は、AIがChatGPTでもGeminiでもClaudeでも基本構造は変わりません。

本記事では認知度の高さを理由にChatGPT(無料版)をサンプルとして使います。
なお、ChatGPTは無料版と有料版で使われているエンジン(モデル)が異なります。無料版でも本記事の方法は機能しますが、有料版のほうが応答の深さや指示への追従力は安定しやすい。「無料版で十分始められる、ただし応答の質感に差が出ることは前提として持っておく」——これくらいを念頭に置いておくのが妥当です。

ステップ1:相談者のイメージを用意する

ロープレで使う相談者の情報は、自分でゼロから考える必要はありません。
書籍・web・養成講座のテキストなどに、ロープレ練習用の設定例がいくつも紹介されています。気になったものを1つ選ぶだけで十分です。

試験で実際に出題される設定情報は、年齢・性別・職歴・家族構成・現在の状況などが100〜200字程度でまとまっています。コピペできる粒度です。

サンプルはこんな具合です。

・山下美和
・42歳
・設定(例):大学卒業後、外資系メーカーで営業事務6年。第一子出産で退職、現在は専業主婦8年目。下の子が来春小学校に上がるため復職を考え始めたが、ブランクが長く自信が持てず、何から始めればいいか分からない。
・家族:夫44歳(IT企業勤務・出張あり)、長男8歳(小2)、長女5歳(保育園)

試験団体(JCDA/CC協議会)で設定情報の長さは多少違いますが、実技ロープレ用の素材としてはあまり影響しません。100〜200字程度の情報量があると、ChatGPTも表層・深層を考えやすいくらいの目安として把握しておけば十分です。

自分が苦手なケース(年齢層、相談テーマ)を意識的に選ぶと、
練習の焦点が自然に絞られます。

ステップ2:表層と深層の悩みを考えてもらう

用意した設定例をそのままChatGPTに貼り付けて、こう頼みます。

キャリアコンサルタント実技試験の練習をしたい。以下の相談者の表層的な悩みと深層的な悩みを想定して、出してください。

(ここに設定例を貼り付ける)

主訴と本当の問題のズレ」と試験で学ぶものです、と言えばピンとくる方も多いかもしれません。表層だけでロープレを進めると、AIが3往復で「では復職を勧めますね」と着地してしまう。深層をChatGPTに考えてもらうことで、面談に展開の余地が生まれます。

実際にこの依頼を投げると、ChatGPTは表層と深層をかなり構造的に整理して返してきます。試したケースでは、こんな出力が返ってきました。

表層的な悩み(相談者が口にしやすい内容)

  • ブランクが8年あり、社会復帰できるか不安
  • 何から始めればいいか分からない(求人の探し方、スキルの棚卸し)
  • 営業事務の経験しかなく、今の時代に通用するか心配

深層的な悩み(言語化されていない/本人も気づいていない可能性)

①「再就職したい」のではなく、「社会との接点を取り戻したい」
 仕事=収入ではなく、自己存在の証明としての意味が強い。専業主婦期間で「評価されない感覚」に慣れ、自己効力感が低下している。

②「ブランク不安」は表向きで、本音は「再び評価される怖さ」
 会社に入れば他者評価にさらされる。家庭では守られていたが、外では通用しないかもしれないという恐れ。

③キャリアの再構築ではなく「過去への回帰志向」
 営業事務に戻りたいという発想の本質は、知っている領域で安心したいだけ。これはキャリア選択ではなく、不安回避の選択。

核心:もう一度社会に出たい。でも、今の自分が通用しない現実は見たくない——この矛盾をどう扱うかが、面接の勝負どころ。

これがそのままロープレ素材になります。完璧でなくても気にしない。もっとここを深めたいと思ったら追加で頼めば済みます。

※これは2026年4月時点のChatGPT無料版で実際に試した出力の抜粋・編集版です。チャットごとに出力は変わります。

副次的な効果:これは見立ての練習にもなる

ChatGPTに表層と深層を考えてもらう過程で、こちらも一緒に「この人はどんな奥行きを抱えているか」を辿ることになります。

表層を読み、深層の選択肢を並べて、ピンとくるものとそうでないものを選り分ける。
ChatGPTのペルソナ案を「材料」として受け取り、自分の中で再構築する——この動き自体が、実技試験で問われる見立ての動きそのものです。

ロープレを始める前に、見立てを動かす準備が一段すでに済んでいる状態。

これは副次的な効果ですが、繰り返すうちに、自分の中に「相談者の奥行きを想像する型」が育っていきます。

ステップ3:そのままロープレを始める

ステップ2で出てきた表層・深層を踏まえて、こう頼みます。

上記の表層的・深層的な悩みを持った相談者として、これからロールプレイをしてください。私がキャリアコンサルタントとして、最初のあいさつから入ります。

これでロープレが始まります。ChatGPTが「山下美和」として一人称で話し始めるはずです。

ChatGPT:「今日はよろしくお願いします。実はですね、下の子が来春小学校に上がるので、そろそろ働き始めようかと考えているんです。でも、8年のブランクがあって、自分にもう通用するのか、すごく不安なんです。何から手をつけたらいいのか、全然分からなくて…」

カウンセラーとして応答する番です。

ChatGPTは黙っていると相談者役を抜けて解説を始めたり、1回の応答が長くなったりすることがあります。物足りなく感じたら、一言添えて整える。

  • 1回の発言は3〜4文以内で
  • 相談者役を抜けて解説しないでください
  • こちらが「終わります」と言うまで続けてください
  • 「迷う」「言いよどむ」も応答に入れていいです
  • などなど

全部最初から指定する必要はありません。やってみて気になったところを足していくくらいで十分だと思います。

音声でやりたい場合

ここまではテキストでのやりとりを想定しましたが、ChatGPTは音声モードでもロープレできます。試した範囲では、こんな実用情報が分かりました。

  • iPhone/AndroidのChatGPTアプリで音声モードが使える(無料プランで使える)
  • ログインした状態である必要がある
  • ブラウザ+ログインなしでは音声モードは使えない
  • 音声モードに切り替えると、テキストモードで設定したロープレを忘れることがある。そのときは「さっき設定したペルソナでロープレを始めて」ともう一度依頼すると復活する

音声でもテキストでも、本記事の3ステップ自体は同じです。声に出して練習したい場合は、テキストで設定→音声モードに切り替え→必要なら再依頼、の流れで進められます。

プロンプトでは再現しにくいもの

ここまでの3ステップで、それなりに動くロープレが始められます。
一方で、このロープレでは練習できない点があることも理解しておくと良さそうです。3つに整理しておきます。

沈黙

対人のロープレでは、相談者が黙る瞬間があります。
考えている沈黙、言葉を探している沈黙、躊躇の沈黙。

受験者はその沈黙を「待つ」ことを学びます。

ChatGPTとのやりとりでは、こちらの応答に対して相談者役が「沈黙する」ことは原理的に起こりにくい。テキストでも音声でも、AIは即座に何かを返します。「3秒待ってから返して」と書いても、その3秒には対人のような重みは乗りにくい。

それに、画面の向こうの沈黙は、対人の沈黙とは質感が違います。
対人なら沈黙の中にも相手の存在がありますが、AI相手の沈黙では、こちらが一人きりに戻ってしまう感じが残ります。

対人の沈黙そのものをもう一段知りたいときは、沈黙への対し方も参考になります。

感情の揺れ

もう一つ、プロンプトで指定しても薄くなりやすいのが感情の揺れです。

表層・深層を渡すと、ChatGPTはその通りに応答してきます。ただ、その揺れのプロセスは、対人のように自然な濃淡を持ちにくい。

対人の相談者は、こちらの一言で表情が変わったり、思いがけない言葉が出てきたりする。受験者はそれに反応して質問を変える。その相互の即興性が、面談を生きたものにします。

AIの応答は、与えた設計図の枠内で動く。設計図にない揺れは出にくいし、出たとしてもこちらが「それは設定外では」と気づいてしまうと、練習の集中が切れる。

ここをカバーする一つの方法は、プロンプトを練習ごとに微調整することです。同じケースで「今日は警戒度を高めにする」「今日は途中で『でも本当はもうやめたいんです』と漏らす設定にする」と少しずつ変えると、感情の揺れの幅を自分で経験できます。

応答のタイミング

三つ目は、応答のタイミングです。

対人のロープレでは、相談者の応答のテンポにこちらが影響を受けます。早く返ってくると焦るし、ゆっくり返ってくるとこちらも落ち着く。テンポは情報になる。

ChatGPTのテキストモードでは、AIが入力中の表示が出たあと、ほぼ一定のリズムで応答が出てきます。ボイスモードでも、対人のような微細なテンポの揺れは少ない。

結果として、こちらは「相手のテンポに合わせる」練習がしにくい。自分のペースだけで進められてしまうので、面談全体のリズム感覚が育ちにくい部分があります。

これは、ChatGPTでは練習しにくいものとして割り切るのが現実的です。テンポを含めた練習は、対人や、テンポも含めて設計された専用サービスで補う。

ChatGPTで何度もやれる強みを、どう活かすか

ここまでChatGPTの「再現しにくいもの」を3つ挙げました。
加えて、ChatGPTとの練習に最適化するといった「偏った癖」が身につくリスクも理解した上で、活用することが大事だと思います。

ChatGPTには、対人にも専用サービスにもない強みがあります。
追加コストなしで何度でも練習できること、やりとりがそのままログとして残ること、条件を変えて同じ場面を試せることです。

ここでもう一度、無料版/有料版について一言添えます。
無料版でも回数は重ねられますが、時間あたりの利用上限がモデルごとに設定されていることがあります。連続して長時間練習すると一時的に制限がかかることがある点は、知っておきたい。「だから有料版」ではなく、「無料版で始めて、回数や応答の質感に物足りなさを感じたら有料版や専用サービスを検討する」という順序の話です。

この強みが活きるのは、「練習の前後で何を見るか」を決めているとき。
漫然と相談者役を呼び出して10往復して終わり、では強みが流れていきます。

たとえば、こんな使い方があります。

  • 同じ設定例で2回練習し、自分の質問の出し方が前回と違うところを見比べる
  • 1回目は普段通り、2回目は「最初の3往復は質問せず聴くだけにする」と決めてやってみる
  • やりとりログを開いて、自分が次の質問に焦った瞬間(短い間隔で連射した箇所)を探す

ロープレ後に評価してもらう、という使い方

ロープレが終わったあとに「自分の応答はどうだったか」を振り返りたくなることもあります。これもChatGPTに頼めます。

実技試験の評価基準は団体(JCDA/CC協議会)の公式サイトで公開されているので、自分が受ける試験団体の評価観点をコピペして、「この観点で、いまのロープレを評価してください」と依頼するのがもっとも実用的な方法です。

AIの評価が試験の合否評価と一致するわけではありません。
それでも、「どこを見返したらいいか」の手がかりとして使うには十分機能します。

AIの評価と人間の目(自分自身、勉強仲間、フィードバックをくれる先輩)は、補完して使うとバランスが取れます。ログを自分の目で読み返すときは、逐語録の読み方・活かし方が参考になります。

おわりに:完成形を作ってから、ではなく、走りながら直していけばいい

ChatGPTにロープレ相手を頼むとき、つい「完璧なプロンプトを作ってから始めよう」と頑張ってしまう。プロンプトを丁寧に書けば書くほど、その方向に引っ張られます。

でも、3ステップで始めれば、最初から動かせる。物足りないところは、やってみて気になったときに足していけば十分です。

AIも日々変わっていきます。同じ依頼でも、応答の質感は時期によって違うかもしれない。練習のたびに、自分の感じ方に合わせて少しずつ調整する——これくらいの姿勢のほうが、ChatGPTというツールには合っています。

3ステップで始められるだけでなく、表層と深層を考えてもらう過程が見立ての練習にもなる。一石二鳥と言うと軽くなってしまいますが、副次的にそういう価値もあります。

一度3ステップでやってみて、何度か回してみて、もう一度「AIで練習」は、ロープレの代わりになるのかを読み返すと、「代わりではなく役割が違う」という言い方の意味が変わって見えるかもしれません。

もう少し違う角度の「ひとり練習」も合わせて見ておきたい場合は、こちらが参考になるかもしれません。

再現しにくい部分を、ロープレで確かめてみる

AIクライエントとの15分ロープレ練習が、いつでもどこでもできます。沈黙やテンポも含めてロープレ用に設計された相手と話せて、練習後には逐語録付きのフィードバックレポートが届きます。

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