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再雇用か退職かの迷いの背後に、「頼りにされる側でなくなる」という葛藤が見えてきた面談でした。相談者は、37年間の経験の中で「機械が好き」というより「頼りにされることが喜び」だったと気づき、その視点から再雇用の「手伝い」という言葉への引っかかりを言葉にしています。あと一歩は、その強みと迷いを結びつけて、選択の幅を共に整理する余地がありました。
この面談は「関係づくり」「問題をつかむ」をしっかり通りました。「これからを考える」の入口まで進みました。この15分は面談全体の前半にあたります。この道のりは面談が「どこまで進んだか」のものさしです。「どう関わったか」は、下の場面の振り返りと巻末の「力の地図」でご覧いただけます。
話す分量(あなた:相談者) 序盤 5:5 → 中盤 5:5 → 後半 5:5
場面 相談者が仕事の中で何を大切にしてきたかを、具体的な場面から探りました。
あなたの関わり あなたは「ここまでお話を伺いさせていただいて」と、それまでの対話を振り返り、相談者が喜びを感じる場面(機械がうまく動く・若手が自分で立ち上げる)を整理して差し出し、「清水さんご自身はいかがですか」とたずねました(要約+確認の問いかけ)。
相談者の動き 相談者は「機械が好きだから続けてきた、とばかり思っていましたが。たよりにされることのほうが、自分には大きかったのかもしれません」と、自分の価値観に気づく言葉を語りました。この気づきが、再雇用への引っかかりの理解を一段深めています。
場面 再雇用への引っかかりの核心が、「頼りにされる側でなくなる」ことへの不安だと、相談者が言葉にする場面です。
あなたの関わり あなたは「ご自身が頼りにされる側ではなくなるということが引っかかっているポイントかもしれないということですね」と、相談者の言葉をそのまま受け止めて伝え返しました(伝え返し)。
相談者の動き 相談者は「それを認めるのも、少し、ためらいがあります」「このとしで、まだ前に出たいと思っているように聞こえる気がして」と、自分の構えや周囲の目への意識にも触れ、葛藤の多層性が見えてきました。
相談者が「……」で間を置いている場面で、次の質問を急がず、ひと呼吸おいてから返すと、相談者の思考の深まりを待つ構えがさらに立ち上がります。応答が相談者の発話直後に続く場面が複数あり、相手が考える間が取れていない箇所が見られました。間を取ることで、相談者の内省がさらに深まる可能性があります。
例えば 「(沈黙を保ち、相談者の次の言葉を待つ。相談者が話し始めたら、その言葉を受け止める)」
相談者の強み(37年の経験・若手育成の実績)が語られた場面で、それを再雇用や退職の選択と結びつけて整理する余地がありました。「頼りにされる」ことが喜びだとわかったなら、再雇用でも退職後でも、その喜びをどう実現できるかを共に考える問いかけが、選択の幅を見せる一歩になります。
例えば 「その「頼りにされる」喜びは、再雇用でも、あるいは外に出ても、どんな形で実現できそうでしょうか」
相談者が「ためらい」や「みっともない」と語った場面で、その感情をもう少し滞留させる余地がありました。感情に触れた直後に次の問いを重ねず、「ためらいがある、その感じをもう少し聞かせてもらえますか」と、感情そのものに焦点を当てる問いかけが、相談者の内省をさらに深める可能性があります。
例えば 「そのためらいの感じを、もう少し聞かせてもらえますか」
口頭試問では、自分のロープレを落ち着いて振り返り、客観的に捉えられるかどうかも見られます。ここはその「振り返る力」が表れる場面です。ここを読み返すことが、その力を磨く機会になります。
よかったところ 口頭試問では、面談の良かった点として「相談者の思いや考えを一つ一つ伺いながら、気持ちや考えを整理するお手伝いができた」と語り、相談者の変化を「機械に触ることが好きだけでなく、他の方に役に立っている・喜んでもらえることに喜びを感じている、それが言葉となってきた」と具体的に説明できていました。面談の流れと相談者の動きを、ご自身の言葉で整理して語れています。相談者が一番訴えたかったことについても、「会社から線を引かれるように言われている感覚と、ご自身がやりたい気持ちの板挟み・葛藤」と、面談で実際に起きたことを踏まえて語れていました。
伸びしろ 改善点として、「役に立つという場面がどんなふうにうれしいのか、もう少し実感を持って感じられるような問いかけや作業ができたのかな」と語っていましたが、面談では実際にT68で「他にもそういった場面ってこれまであったりするんですか」と具体的な場面を広げる問いかけが入っており、若手育成の喜びが引き出されています。ご自身の関わりの成果を、もう少し認めてよい場面でした。15分以降の展開についても、「役に立つ喜びをもう少し明確にする」「再就職・退職でどう実現するかのイメージを持つ」と方向性を語っていましたが、面談ではすでに「頼りにされる」という価値観の言語化まで届いているため、次の展開は「その価値観を、選択肢(再雇用・退職)とどう結びつけるか」がより具体的なねらいになります。
(S〜C)はスキルごとの現在地です。「今回いちばん働いた力」「次の一手はここから」は、3つの力の中での相対的な位置=(S〜C)が同じでも「次に伸ばすなら、ここから」という順番を示しています。
| 相談における基本的態度 | B 発揮できている |
| 問題把握力 | A 安定して発揮 |
| 相談の展開力 | A 安定して発揮 |
| 相談者に起きた動き | A 安定して発揮 |
これは現在の面談スキルの状況です。回を重ねることで、スキルの変化・成長を 「成長の見える化」 として確認できます。
S=自然に発揮(理想)/A=安定して発揮(現実的な目標)/B=発揮できている/C=伸びしろ
面談を終えた相談者の側に、何が残ったか。心の声を共有します。
面談が終わって、少し、頭の中が軽くなったような気がします。話す前は、「いまさら」とか「つぶしがきかない」とか、そんな言葉ばかりが浮かんで、考えるのをやめたくなっていました。けれど、話しているうちに、自分が機械に触ってきたのは、ただ機械が好きだからではなくて、頼りにされることがうれしかったんだと気がつきました。呼ばれて、何とかしてくれと言われて、それで機械が動いた時。若い者が、自分で機械を立ち上げられた時。そういう場面で、自分はしごとをしている気がしていたんだと。再雇用の「手伝い」という言葉に引っかかっていたのも、頼りにされる側ではなくなるような気がしたからかもしれません。それを認めるのは、まだ、ためらいがあります。このとしで、まだ前に出たいと思っているように聞こえる気がして。職場では、若い者に任せるのが自然だという空気がありますから。でも、自分の中に、まだやれるという思いがあることは、たしかです。これから、どうするか。まだ、決めきれていません。けれど、自分が何を大事にしてきたのか、少しだけ、言葉になった気がします。
※ 音声を文字に起こす技術は現在も発展途上のため、一部の引用で表記が崩れる場合があります。逐語録は認識結果のまま掲載しています。崩れが疑われる箇所のうち推定できたものには、原文を残したうえで推定される表現を小さく「注:「…」?」の形で添えています(すべての崩れを補えるわけではありません)。
※ 読みの補い(音声認識でひらがなになった語):いこうちょうさ=意向調査/さいこよう=再雇用
[T1] 相談者:今日は、時間をとっていただきまして。……ええと、定年のあとのことで、少し、考えがまとまらなくなりまして。
[T2] あなた:あ、本日はよろしくお願いいたします。
[T3] あなた:詳しくお話をお伺いしてもよろしいでしょうか。
[T4] 相談者:……はい。定年まで、あとさんねんでして。先月、いこうちょうさの紙がきまして……その先を、考えないといけなくなったんです。
[T5] あなた:定年後のことですね。意向調査ですか。
[T6] あなた:いった調査内容なんでしょうか
[T7] 相談者:……はい。さいこようで会社にのこるか、外で働くことも考えるか、というような内容です。提出は来月末でして。
[T8] あなた:再雇用で会社に残るかそれとも退職をするかというのが、まあ今月の末までに提出なんですね
(サンプルのため、ここから先は省略しています。実際のレポートには、面談のやりとり全文(全92ターン)が最後まで掲載されます)
※ 音声を文字に起こす技術は現在も発展途上のため、一部の引用で表記が崩れる場合があります。逐語録は認識結果のまま掲載しています。崩れが疑われる箇所のうち推定できたものには、原文を残したうえで推定される表現を小さく「注:「…」?」の形で添えています(すべての崩れを補えるわけではありません)。
※ 読みの補い(音声認識でひらがなになった語):こうとうしもん=口頭試問/そうだんしゃ=相談者/めんだん=面談
[O1] 試験官:お疲れ様でした。それではこうとうしもんに移ります。先ほどのロールプレイングについて、いくつかお聞きします。まず、このめんだんの中で、良かった点はどこだと思いますか?
[O2] あなた:はい相談者の方がこう思ってらっしゃること考えてらっしゃることを一つ一つお伺いしながら気持ちであったり考えていことを整理するお手伝いができたところかなというふに思います。
[O3] あなた:ます。
[O4] 試験官:ありがとうございます。その関わりによって、そうだんしゃにどのような変化がありましたか?
(サンプルのため、ここから先は省略しています。実際のレポートには、口頭試問のやりとり全文(全25ターン)が最後まで掲載されます)